法人税の間違いを直す!修正申告や更正の請求、訂正申告について
法人税の計算を間違えていたときや申告後に関係書類が出てきたときは、正しい内容で申告をするために「修正申告」や「訂正申告」、あるいは「更正の請求」を行うことになります。
事後的にでも正しく申告することは大事で、これによって税制上のペナルティを回避することにもつながるのです。
どのような場合にどのような手続が必要となるのか、当記事ではこれら3つの手続について解説します。
誤った法人税申告のリスク
法人税に限らずですが、誤った税額の申告・納付にはいくつかのリスクを伴います。
1つは「余分な税負担を負ってしまうこと」です。
利益を求めて日々事業活動に取り組んでいるにもかかわらず、計算ミスをしてしまうことによって余計な損失を生んでしまいます。売上高に対する利益(当期純利益)が小さくなってしまい、会社の使えるお金が本来より小さくなってしまうのです。
もう1つのリスクは「加算税や延滞税が上乗せされてしまうこと」です。
修正を行うタイミングによってこれらペナルティの重さも変わってくるのですが、非常に悪質な背景があったと認められるときは重加算税として最大40%の税率を適用した負担が上乗せされてしまいます。過少申告加算税が課されるときでも10%や15%などの税率で負担を上乗せされてしまいます。
さらに納付期限を遅れたことを理由に、遅れた日数に対応する延滞税もさらに上乗せされます。対応が遅れるほどリスクが増してしまう点は留意しておきましょう。
納税額が不足していたときは「修正申告」
法人税の申告期限は、原則として「決算日の翌日から2ヶ月」です。3月決算法人であれば5月31日までに申告をしないといけません。
そしてこの申告期限を過ぎた後に申告ミスに気がつき、さらにそのミスの内容が“納税額の不足”であったときは、「修正申告」を行わないといけません。
「申告期限後」かつ「納税額の不足」は、法人がもっとも注意しないといけないパターンです。ペナルティが課されますので、ミスが発覚した時点でできる限り早い対応をしないといけません。
延滞税は日々積み重なっていきますし、延滞してしまってから2ヶ月を経過すると利率が大きくなってしまい加速的にその負担が増額してしまいます。そのため延滞税の観点からは「延滞から2ヶ月を過ぎるかどうか」が大きな分かれ目になるといえるでしょう。
過少申告加算税に関しては「税務調査の前後」に着目しましょう。税務調査に関する通知を受ける前に自主的な修正申告を行えば、過少申告加算税は課されません。
多く納税していたときは「更正の請求」
「法人税を本来の額より多く納め過ぎていた」という事実が発覚したとき、その時点で申告期限を過ぎていたのであれば、「更正の請求」を行います。
※還付された税金が少なかった場合に行う手続も「更正の請求」。
払い過ぎた法人税があり、正しく更正の請求ができたときは、払い過ぎた分の払い戻しを受けることができます。
なお、更正の請求を行うには請求書の作成が必要で、その請求の理由となる事実について証明をしないといけません。例えば計上ができていなかった領収書を請求書に添付するなどして税務署に提出します。
申告期限から5年以内でなければ返金されませんので注意してください。
申告期限前なら「訂正申告」
「余分に払ってしまっていた」「納付額に不足があった」、これらいずれの場合であっても申告期限内であれば「訂正申告」によって対応可能です。
訂正申告を行うときは、正しい内容に訂正した申告書を再度提出すれば良いです。期限を過ぎていませんのでペナルティなどもありません。
なお、訂正申告を行う場合もその他修正申告や更正の請求を行う場合も、再度ミスが含まれないように注意してください。顧問税理士がついていないのであれば、修正を機会に税理士を探すところから始めてみるのも良いでしょう。