はじめて消費税を申告する方向け|準備から納付までの流れと注意点を解説
「フリーランスとして活動を始めた」「インボイスの登録をした」「売上が増加した」などをきっかけに、消費税の申告が必要になる方もいることでしょう。ここで消費税申告のために何を準備しないといけないのか、納付の方法までの流れを順に解説していきますのでぜひ参考にしてください。
消費税申告の必要性をチェック
消費税の申告が必要なのは「課税事業者」に該当する方です。
すべての事業者に申告義務があるわけではありません。基準期間(個人事業主は前々年)の課税売上高が1,000万円以下で、かつインボイス発行事業者にも登録していないなどの要件を満たせば「免税事業者」となり、申告は不要です。
申告に対応する必要があるのか不確かな方は、まず税理士に確認してもらうことをおすすめします。
税額の計算方法は3パターンある
申告作業に入る前に、ご自身がどの計算方法で消費税を算出するのか把握しておきましょう。
原則課税方式に基づく計算
「原則課税方式」は、売上で預かった消費税から、仕入や経費で支払った消費税を差し引いて納税額を計算する原則的な方法です。
正確な税額が算出されますが、インボイス(適格請求書)の保存・管理が必要となり、後述の計算方法に比べると事務作業の負担は大きいです。
簡易課税方式に基づく計算
「簡易課税方式」は、売上にかかる消費税額に対し、業種ごとに定められた「みなし仕入率」を適用して控除額を計算し、納税額を計算する方法です。
仕入や経費の実額を集計する必要がなく、帳簿管理等の手間を小さくできます。たとえばフリーランスのデザイナーやコンサルタントは第5種に該当し、みなし仕入率は50%です。仕入や経費が少ない業種であれば、簡易課税を選択した方が有利になる傾向にあります。
※基準期間の課税売上高が5,000万円以下で、適用を受けようとする年の前年末までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を所轄の税務署に又はe-TAXで提出していることが条件。
2割特例の適用を受けての計算
インボイス制度の導入に伴い設けられた2割特例の適用対象者は、課税売上税額の2割のみの納付でかまいません。
しかしこの特例は、令和8年分の申告が最後の適用対象となります。令和9年分(※)からは原則課税か簡易課税のいずれかで申告することを留意しておきましょう。
※令和8年度税制改正により個人事業者のみ2年間限りの特例措置が講じられます。
会計ソフトで仕訳ができている方が追加でやること
市販の会計ソフトを利用して日々の売上・経費の仕訳入力ができている方は、別途、消費税申告のためにゼロから作業をやり直す必要はありません。ただ、いくつか確認・対応すべき作業があります。
会計ソフトの消費税設定を確認する
会計ソフトを使えば多くの作業が自動で進められます。
しかし設定自体に誤りがあると処理内容も間違ったものとなってしまいますので、まずは会計ソフト上で課税方式(原則課税・簡易課税)や経理処理方法(税込経理・税抜経理)が正しく設定されていることをチェックしましょう。
仕訳の税区分を確認する
消費税の申告額は、日々の仕訳に付された「税区分」をもとに自動集計されます。そこで次の点に注意して確認していきましょう。
- 「軽減税率8%」が適用される売上・仕入れを「標準税率10%」としていないか?
- 課税対象外の経費に「課税仕入」の区分が付いていないか?
- (簡易課税の場合)売上の事業区分は取引実態に合致しているか?
会計ソフトは勘定科目に応じて税区分を自動で設定してくれますが、取引の内容によっては初期設定と実態がずれることがあります。申告前に一度、主要な仕訳の税区分をざっと確認しておくと安心です。
会計ソフトの機能で申告書を作成する
税区分の確認が済めば、会計ソフト上で消費税申告機能を使い申告書を作成します。
具体的な手順は各システムによって異なるのですが、基本的には画面の案内に沿って進めるだけで申告書が自動で生成されます。
※国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用して作成することも可能。
https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/sm/top#bsctrl
申告と納付のやり方
申告書が完成したら、提出と納付を行います。
個人事業主の消費税の申告・納付期限は、課税期間の翌年3月31日です。所得税の確定申告期限(3月15日)とは異なりますが、期限に遅れることのないよう同時に対応しておくと安心です。
提出方法は税務署窓口に持参したり郵送したりするほか、e-Taxを使った電子申告も可能です。今後も事業者としての活動があるのなら電子申告に対応できるよう整えておくのが良いでしょう。
消費税の納付方法についても複数の手段が用意されています。
《消費税の納付手段》
- 振替納税(個人事業者のみ)
- 口座からの自動引落し
- 事前に「預貯金口座振替依頼書」の提出が必要
- ダイレクト納付
- e-Taxから即時または指定日にて口座引落し
- 事前にe-Tax利用開始手続きと届出書の提出が必要
- クレジットカード納付(個人事業者のみ)
- 「国税クレジットカードお支払サイト」からの手続き
- 1万円ごとに決済手数料(約1%)がかかる
- スマホアプリ納付(個人事業者のみ)
- PayPayや楽天ペイなどで手数料なしで納付可能
- 30万円以下限定
- 窓口・ATM納付
- 銀行や税務署、ATMで現金納付
申告のやり方や税額の計算、会計ソフトの使い方など、はじめてだとわからないこともたくさんあるかと思います。理解できないまま進めてしまうのはリスクが大きいため、少しでも不安材料のある方は税理士事務所にご相談いただければと思います。なお、税理士事務所によっては特定の会計ソフトのみの対応となることがあります。










