決算申告が楽になる?月次決算を行うメリットについて解説
「月次決算」とは、毎月末に行う財務状況を把握するための作業のことです。毎月会社の収支や財務状況を確認することで、経営の舵取りをより正確に行えるようになるなどのメリットが月次決算にはあります。法律上の義務ではありませんが、当記事の内容を参考にしていただき導入について検討してみてください。
月次決算とは?
どの会社も、年に一度の年次決算を行い、1年間の業績をまとめて税務署に申告する決算申告を行っています。
これに対し月次決算とは、年次決算のような作業を月単位で行う会社の業務を指しています。
「会社の1ヶ月間の営業成績を数字で振り返り整理する作業」を繰り返すことで、年に一度だけだと気づきにくいことでも一早く把握できるようになります。
毎月末に簡易的な決算を行うことで、会社の状況をリアルタイムで把握しようというのが月次決算の考え方です。
具体的な作業内容
月次決算でも行うことは年次決算と大差ありません。ただ、毎月行われリアルタイムに経営状況を把握するという目的を考えれば、スピード感を持って対応することが大事といえるでしょう。一般的には次のような作業を進めていくことになります。
- 売上・仕入の確定
・・・その月の売上と仕入(商品の購入費用)を正確に集計。現金売上や現金仕入だけでなく、掛売上(後日回収予定の売上)、掛仕入(後日支払予定の仕入)も含めて計算。 - 経費の集計と仕訳
・・・その月に発生した経費を項目別に集計。家賃や光熱費、人件費、広告宣伝費、交通費など、会社が支払った費用をすべて洗い出し、適切な勘定科目に振り分ける。その際、「現金を支払った月」ではなく「費用が発生した月」で計上する。たとえば2月分の電話料金を3月に支払いした場合、現金の支出は3月ですが、経費としては2月分として2月に未払計上(翌月以降に支払いする場合の処理)する。 - 損益計算書の作成
・・・売上から売上原価と経費を差し引いてその月の利益を計算する。まず売上高から売上原価を差し引いて「売上総利益」を算出。さらに販売費や一般管理費を差し引いて「営業利益」を算出し、営業外収益の加算および営業外費用の減算により「経常利益」を算出するといった形で段階的に計算を進める。その情報をまとめて「損益計算書(P/L:Profit and Loss Statement)」として作成する。 - 貸借対照表の作成
・・・月末時点での会社の財産状況を整理する。現金や売掛金、商品などの資産と、買掛金や借入金などの負債、そして資本の残高を整理し、その情報をまとめて「貸借対照表(B/S:Balance Sheet)」として作成する。
業務のスピード感は大事ですが、月次決算の内容が最終的な年次決算にも影響するため、何より「正確性」には留意しなくてはなりません。
月次決算を行うメリット
月次決算を実施するとなれば経理担当者の負担が増えますが、それ相応のメリットも得られます。
決算申告が効率化される
月次決算を行うメリットの1つは「年次決算作業の効率化」です。
月次決算を繰り返していれば、年次決算に必要な情報を毎月整理していることになりますので、すでにある程度作業が進んだ状態から決算業務を始められることになるのです。また、毎月きちんと帳簿を整理していれば、年度末に慌てて1年分の資料を集める必要がありません。
年次決算のみを税理士に依頼することもありますが、月次決算がきちんとできていれば税理士の対応する作業時間が短縮され、結果として申告書の提出を早く終わらせることができます。
また、決算申告の精度も向上し、税務調査で指摘を受けるリスクも減少させられるでしょう。
資金繰りの管理がしやすくなる
毎月数字をチェックすることで、何か異常があった場合でも早期に発見できます。
売上の減少、経費の異常な増加、現金不足の兆候など、年次決算では手遅れになりがちな問題も、月次決算なら対応可能な段階で発見できるでしょう。
そして現金の流れが明確になるため、資金繰りの予測精度も向上します。
「来月の支払いに現金(資金)が足りるか」「設備投資のタイミングはいつが良いか」といった判断を、具体的な数字に基づいて行えるようになります。
もし銀行からの融資が必要となった場合でも、早めに気が付けば余裕をもって手続きを始められますし、審査で提出する資料にも月次決算書があると信頼度が向上します。金融機関は「しっかりと数字を管理している会社」を高く評価するため、月次決算をしていたことで結果的に融資条件が良くなったり審査がスムーズになったりするメリットも得られるかもしれません。
経営戦略の精度が上がる
月次決算を行う目的の1つに「経営状況の見える化」が挙げられます。
感覚や印象ではなく、具体的な数字で会社の状況を把握することで、より正確な経営判断ができるようになります。
売上が好調だと感じていても、実際に数字を見ると経費が増えて利益は減っているということが起こり得ます。
月次決算によりこのような感覚と現実のズレを修正しやすくなるでしょう。
また、毎月の業績推移を把握することで、季節変動や市場トレンドをより正確に読み取りやすくなります。
その結果、在庫管理・価格設定・販売戦略などの精度が向上し、利益を最大化させるための戦略も立てやすくなるでしょう。