種類株式・金庫株
事業承継において譲渡されるものは、会社本体というよりも株式と言った方が正確です。
しかし、株式の譲渡については様々な法律によって制限が設けられているため、一つ間違えると事業承継そのものが破綻してしまう恐れがあります。
例えば、他の相続人がいるのにも関わらず、会社の株式すべてを後継者に遺贈するといった遺言書を作成していた場合には、遺留分を侵害している可能性があります。遺留分とは、法律によって相続人に保障された相続財産となっており、遺留分を主張したい相続人は遺留分減殺請求権を行使する必要があります。
もし、遺留分減殺請求によって会社の株式が後継者以外の相続人に渡ってしまった場合、株式総会特別議決事項において後継者は単独で意思決定することができず、会社の経営が滞ってしまうリスクを抱えることになります。
こうした事態を解決する手段が、種類株式の利用です。
本来、株主は同等の権利を有します、しかし、会社法108条に基づき種類株式を発行することで、議決権を制限することができたり、拒否権を付与することができたりします。これによって、他の相続人に株式が渡ったとしても、会社経営に問題を生じさせないようにすることができるのです。
他の相続人に渡った株式は、保有し続ける金庫株になるため、これを会社で買い取ることもできます。ただし、金庫株の買い取りは剰余金の分配可能額の範囲でしかできないため、注意が必要です。
金庫株を活用することは税金対策にもつながります。しかし、会社の財務状況によっては金庫株の買い取りが出来ない場合もあるため、事前に対策を講じて置き、綿密な準備を経ておく必要があります。
井関孝之税理士事務所は大阪府豊中市・箕面市・吹田市を中心に、兵庫県川西市などにおいて皆様からのご相談を承っております。
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