組織再編成・グループ法人税制
親族内承継という形で事業承継を行う場合、問題となるのが株式譲渡の方法です。
銀行などの民間金融機関が事業承継の相談に乗っていると、一般的には子供に新たな会社を設立させて銀行が融資をし、融資された資金を元手に親の会社の株式を買い付けるといった方法を提案されます。
この方法を使えば、ほぼ確実に株式を買収し、会社を引き継ぐことができますが、新規に設立した会社と親の会社の双方の財務状況が悪化する恐れがあります。もし、悪化具合が深刻な場合には、最悪のケースで倒産ということも考えられます。
そうした事態を防ぐための方法が、組織再編という方法です。組織再編とは、会社の事業を分割したり、複数の会社を合併することを言います。この手段を利用すると、株価の高騰を防ぐことができるため、株式購入にあたって必要となる資金額が少なく済みます。また、親族には不動産のみを継承したいという場合には、分割を行って会社を設立し、事業会社を役員に、不動産会社を親族に引き継ぐといった方法を取ることも可能です。
このように、いくつもの会社を100%の資本関係で結んでいるとグループ法人税制を利用することができます。グループ法人税制とは、2010年の税制改正によって連結納税制度が発展した形となります。
グループ法人税制の主な利点としては、グループ法人内の資産移転に関しては、譲渡損益が発生しないという点です。例えば、簿価5000万円で時価1億円の不動産を譲渡した場合、本来は5000万円の譲渡利益が発生し、そこに課税されます。しかし、グループ法人税制であれば、この譲渡利益額は繰り延べとなるのです。このように、不動産を含み益の発生なしで移動できるという大きな利点がグループ法人税制にはあります。
事業承継を行う際は、発生する税金の問題をしっかりと考慮しておく必要があります。
組織再編成やグループ法人税制の活用も検討されてみてはいかがでしょうか。
井関孝之税理士事務所は大阪府豊中市・箕面市・吹田市を中心に、兵庫県川西市などにおいて皆様からのご相談を承っております。
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