税務署から相続税に関する文書が届いたときにすること
「相続税についてのお知らせ」、「相続税の申告等についてのご案内」といった文書が税務署から届くことがあります。
突然の通知に不安や驚きを感じることもあるかと思いますが、これらの文書が届いても焦る必要はありません。
これらが何の文書なのか、届いたときに何をすればいいのか、ここで解説していきますので参考にしていただければと思います。
税務署から届く相続税に関する文書とは
税務署からの相続税に関する文書には主に以下の2種類があります。
「相続税についてのお知らせ」 | 「相続税の申告等についてのご案内」 |
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・相続税が発生した可能性のある方に広く送られる。 ・相続税について知ってもらい、申告が必要な人が自主的に申告できるように促すためのもの。 ・相続税の制度の概要や、申告が必要かどうかを判断するための情報が記載されている。 | ・相続税が発生した可能性が高いと判断された方に送られる。 ・相続税の申告義務があるかもしれないことを知らせ、申告を促すためのもの。 ・「相続税についてのお知らせ」より詳しい情報が記載され、申告要否をチェックするための資料なども同封されている。 |
いずれも、相続開始(被相続人が亡くなったとき)からおおよそ半年が経過した時期に送付されます。
「相続税についてのお知らせ」が届いたときの対応
「相続税についてのお知らせ」が税務署から届いたとしても、相続税申告の義務が確定しているわけではありません。
「申告が必要かもしれないので、確認してください。」ということを伝えるためのものです。
そのためこの通知に対して何かアクションを起こさないといけないわけではありませんし、これに対して返答などを行わないこと自体にペナルティも発生しません。
とは言え、申告の必要があるときには適切に手続きを行わなければいけないため、まずは申告の要否をチェックしておくべきです。
簡単な方法として「遺産の総額と基礎控除額の比較」があります。
各相続人が取得した財産の価額を合計し、それが相続税における基礎控除額を超えていなければ基本的には申告が不要ということになるからです。
なお基礎控除額は3,000万円に法定相続人の数一人あたり600万円を加算して算定されますので、少なくとも遺産の総額が3,000万円に満たないことが明らかであれば申告の必要性がないと判断できます。
相続税の申告が不要だとわかれば、このお知らせを受け取っていたとしても特に手続きをする必要はありませんので、ご安心ください(但し、取得した財産の名義変更などの手続きは必要です)。
「相続税の申告等についてのご案内」が届いたときの対応
「相続税の申告等についてのご案内」が届いたなら、「相続税についてのお知らせ」が届いたときよりも注意深く、そして迅速な対応が必要となります。
というのも、この案内は、税務署がすでに「相続税の申告が必要となる可能性が高い」と判断した方に送られるものだからです。
申告要否についてチェックする必要性が高いですし、税務署からもマークされていると考えた方がよいでしょう。
なお、この案内には申告要否についての調べ方が記載された資料も同封されていますので、これらの書類もよく読み込み、ご自身の状況を把握することが重要です。
申告の必要性を調べることが大事
いずれの文書が届いたとしても、第一にすべきことは「相続税の申告が必要かどうかを調べること」といえます。
上述のとおり基礎控除額を計算し、遺産総額と比較する。これを1つの判断基準にすると良いです。ただしその判断も簡単にいかないケースがあります。
1つは「相続税評価額を調べるのが難しい財産があるケース」です。現金や預金のように価額がわかりやすいものもあれば、非上場株式や不動産のように価額の計算を要するものもあります。後者については専門知識が必要となりますので、一般の方が対応するにはハードルが高いといえるでしょう。
もう1つは「特例や控除の仕組みを利用しているケース」です。相続税の納付額が0円だとしても、適用のために申告をしないといけない特例や控除も存在しますので、その場合には納付義務がなくても申告義務が発生してくるのです。
調査は税理士に相談
相続税の申告要否の検討、納付額の計算については、税制に対する深い理解が求められます。
そのためできるだけ税理士に対応を任せることをおすすめします。
自己判断で「申告は必要ないだろう。」と考えていたところ、実際には申告や納付の義務があったという事態も起こり得ます。
申告・納付の期限とされる日までに申告や納付ができないと本来より大きな税負担を強いられてしまいますので十分注意し、税務署からの通知を受けた時点で税理士探しを始めるのがもっとも無難なやり方といえるでしょう。