事業用の機械・備品にかかる「償却資産税」とは?課税のしくみと負担の目安を解説
「固定資産税」は土地や建物にかかる税金として広く知られていますが、機械や備品などのうち特定の事業用資産に対しても固定資産税は課税されています。これが実務上「償却資産税」と呼ばれているものです。
「償却資産税」とは何か
前提として、償却資産税が正式な税目の名称ではないということを理解しておきましょう。
固定資産税には「土地」「家屋(建物)」「償却資産」という3つの課税区分があり、そのうち「償却資産」に対してかかる固定資産税を慣習的に「償却資産税」と呼んでいるのです。
※償却資産とは |
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法人や個人事業主が事業のために所有している土地・建物以外の有形資産、つまり機械設備・工具・備品などを指す。 償却資産は使用するにつれ価値が下がっていくため、会計上は「減価償却」という処理で毎年少しずつ費用として計上する。 |
固定資産税のうち土地・家屋に関しては市区町村が評価額を算出して納税額を通知(「賦課決定」といいます)してくれるのですが、償却資産は所有者自身で申告(「自主申告」といいます)しなければなりません。自主申告を求められる点が、不動産にかかる固定資産税との大きな違いといえるでしょう。
何に償却資産税が課税される?
償却資産税の課税対象は、地方税法上の「償却資産」に該当する、事業で使う有形の固定資産です。具体例として次の6種類が挙げられますので確認しておきましょう。
- 構築物・・・駐車場のアスファルト舗装、フェンス、塀、看板、受変電設備など
- 機械や装置・・・製造設備、クレーン、ブルドーザー、工作機械など
- 船舶・・・漁船、ボートなど
- 航空機・・・飛行機、ヘリコプターなど
- 車両や運搬具・・・フォークリフト、鉄道車両など(通常の自動車は除く)
- 工具・器具や備品・・・PC、コピー機、エアコン、応接セット、業務用冷蔵庫、陳列棚など
身近なところでいうと、オフィスにあるコピー機やパソコン、飲食店の厨房機器や客席の椅子、美容室の施術チェアなどが該当します。「何か設備を使って仕事をしている」という事業者は広く対象になり得ます。
課税対象から外れるものをチェック
次に挙げるものは、通常償却資産税の課税対象から外れます。
《 対象外の資産 》
- 自動車税・軽自動車税がかかる車両(自家用車・営業用車両など)
※自動車税・軽自動車税の対象とならないフォークリフトなどは償却資産税の対象。 - ソフトウェア・特許権などの無形固定資産
- 取得価額10万円未満で一時に費用処理したもの
※消耗品費として費用計上したものは除かれる。 - 取得価額20万円未満で3年一括償却したもの
※一括償却資産として処理した場合は対象外。
中小企業向けの「少額減価償却資産の特例」を使った資産にはご注意ください。法人税・所得税の計算上は全額経費にできますが、償却資産税の申告対象からは外れません。
税額の計算のしくみ
償却資産税の税額については、次の算式から求められます。
税額 = 課税標準額×税率(標準税率は1.4%)
「課税標準額」は、所有するすべての対象資産の「評価額」を合計したものです。評価額は取得した時期によって次の式で計算します。
- 取得初年度:評価額 = 取得価額×(1−減価率÷2)
- 2年目以降 :評価額 = 前年度の評価額×(1−減価率)
そして減価率とは資産がどれだけ価値を失うかを示す割合で、資産ごとの法定耐用年数に応じて定められています。
なお、この算式へ機械的に当てはめるだけで常に正確な税額が算出できるわけではありません。評価額の最低限度の取り扱いや、非課税・減免の有無、資産区分の判断、取得価額の考え方など、細かなルールや例外が存在します。
実際の申告や税額計算にあたっては、最新の法令・自治体の案内を確認するとともに、税理士に相談することをおすすめします。
合計額が免税点(150万円)未満なら非課税
「同一市区町村内に所有するすべての償却資産の課税標準額を合計して150万円未満」となるなら、その市区町村から償却資産税は基本的に課税されません。この基準額は「免税点」と呼ばれます。
たとえば小規模な自営業者が市内に150万円未満分の設備しか持っていないとき、償却資産税の負担はゼロです。スモールビジネスの方には恩恵の大きい仕組みといえるでしょう。
ただし、課税標準額の合計が免税点未満となり税額が生じない場合であっても、原則として償却資産の申告自体は必要ですのでご注意ください。
※令和8年度税制改正大綱において、物価上昇を踏まえた対応として、免税点を150万円から180万円に引き上げる改正が盛り込まれました。適用開始時期など最新の情報を要チェック、もしくは税理士に確認してもらうと良いでしょう。










