決算・税務申告を税理士に依頼するメリット~事業者が知っておきたいポイント~
決算申告は、単純な計算作業や事務手続きではありません。1つの判断ミスで納税額に数十万円もの差を生む可能性があり、適切な処理により大きな節税効果が得られることもあります。正しい納税額が納められないことによってペナルティを受ける危険性もあるため、事業者の責務として慎重に対応しなくてはなりません。
このとき頼りになる専門家が税理士です。決算業務や税務申告において税理士が事業者に対しどのような恩恵をもたらすのか、この点について解説していきます。
決算申告を自力で対応するリスク
決算申告では、1年間の事業活動、そこから生じたお金の流れなどを整理しなくてはなりません。
作業量が多く大変な業務であるとともに、税制に対する高い専門性が求められる高度な業務でもあります。
知識不足のまま進めてしまうと、記帳や仕訳、経費計上、各種控除・特例の適用判断などでミスが発生しやすくなります。
こうしたミスがあると税務署から指摘を受け、追加課税やペナルティが課される危険性があり、会社の信用や資金繰りにも悪影響を及ぼしかねません。
また、「正確な処理ができるか」だけでなく、「使える制度を的確に活用できるか」という観点も重要です。
有用な制度が使える状況であるにもかかわらずこれを知らずに処理することは、機会損失につながります。
たとえば「少額減価償却資産の特例」や「中小企業投資促進税制」「賃上げ促進税制」など多くの優遇措置が存在します。
申告時、あるいは申告時期よりも前に手続きを行わなければ恩恵を受けられないケースもありますので、その場合は後から気づいても手遅れとなってしまいます。
税理士と決算申告に対応するメリット
日々の記帳から決算申告に至るまで、経理業務の一連またはその一部を税理士に任せることが可能です。
すべて自力で対処する場合に比べて、上記のようなリスクを心配する必要がなくなり、以下に挙げるメリットも得られます。
- 正確性の担保
- 節税効果の獲得
- 金融機関との関係性強化
- 財務分析による経営改善
各メリットについて見ていきましょう。
正確性の担保
税理士が関与するメリットとしてもっとも重要なポイントは、計算ミスや法的な誤りを排除できる点にあります。
もちろん、税理士の関与でミスが100%防げるというわけではありません。しかし、最新の税制を理解し、決算業務等に豊富な経験を持つ税理士が対処することで、専門知識を持たない方が対処する場合に比べてミスの発生率も大幅に下げることが可能です。
また、専門家のチェックが入ることで後日の税務調査にも安心して対応できます。
節税効果の獲得
経験豊富な税理士であれば適用可能な節税制度についても提案を行うことができ、顧問先である会社の税負担を下げることも期待できます。
税制改正やその時々で有利な制度を見逃さず提案してもらえるのは大きなメリットとなるでしょう。
制度の利用のみならず、たとえば「今期の利益が予想以上に大きくなったため、賞与の支給や設備投資を前倒しで実行して税負担を適正化する」など、節税や事業基盤の強化に効果的な施策をアドバイスできます。
金融機関との関係性強化
税理士が作成する決算申告書は税務署へ提出するものですが、金融機関への提出など、事業活動に伴いいくつか活用の場面がやってきます。
代表的な例でいうと「金融機関から借入を行うときの審査資料としての活用」です。
この場面においても、税理士が作成に関与していると高い品質のものを用意できますので、資金調達を成功させやすくなるでしょう。
品質のみならず、第三者である専門家が作成・監修したという点が当該資料に対する信頼性の担保にもなるため、そういった意味でも資金調達に良い影響を与えるといえます。
財務分析による経営改善
税務だけでなく経営に対する知識も持ち合わせている税理士であれば、決算書を作成することに加え、そこから経営課題を発見して具体的な改善提案を行うことも可能です。
「なぜ利益率が低いのか」「どこに改善の余地があるか」など経営上の悩みがある場合は、税理士からのアドバイスが役に立つでしょう。
経営上のアドバイスをしてくれる税理士がついていると事業運営に対する安心感も得られますし、新たな視点を得ることもできます。
費用対効果を最大にする税理士の活用法
税理士に依頼するときは、単に経理業務を外注するだけでなく、経営全体の効率化や成長推進につなげる視点が重要です。
以下のポイントを意識することで、費用対効果を大きくすることができるでしょう。
- 組織の規模や事業フェーズに応じた税理士選び
- サービス内容と料金体系の把握
- 相談役としての関係性を構築する
事業規模が小さく、まだ分析や経営上のアドバイスを積極的に求めるフェーズにないのなら必要最小限の代行を依頼する方が費用対効果のバランスが取れます。
一方で事業が軌道に乗り組織としても拡大しつつあるのなら、より広範な対応ができる税理士を頼った方が良いでしょう。
またその判断をするためにも、契約前にサービス内容はよくチェックし、「いくらで何のサービスが期待できるのか」を明確にしておくべきです。
事前のチェックが不十分だと、期待していたアドバイスが得られない、予想より費用が高くなった、という問題が起こり得ます。
そして会社の相談役として関係を続けていくのなら、税理士の専門性の高さや対応範囲の広さはもちろん、コミュニケーションの面にも注視すべきです。
能力があっても、コミュニケーションに難があったり人としての相性が悪かったりすると、費用対効果を高めるのが難しくなってしまいます。