賃貸物件で相続税を抑える!節税につながる3つの理由と注意点を解説
現金や預貯金を相続した場合、その額面のままで相続税の計算対象になります。しかし賃貸物件は違います。同じ価値の資産でも、不動産に組み替えさらに賃貸物件として運用すると相続税の評価額が大きく下がる可能性があるのです。
どのようなからくりで相続税対策になるのかをここで解説するとともに、節税対策に取り組む上で注意すべきポイントも紹介します。
賃貸物件が相続税対策になる3つの理由
賃貸物件を使った相続税対策が効果的な理由は、不動産の評価方法と、賃貸ならではの特性にあります。
1.不動産は時価より低く評価される
相続税の計算上、不動産は実際の時価(市場価格)よりも低い金額で評価されます。
土地は路線価という国が定めた基準で評価しますが、この路線価は時価の80%程度に設定されているためです。つまり、1,000万円の価値がある土地でも、相続税を計算する際は800万円程度として扱われることになります。
建物に関しても同様です。相続税の評価額には固定資産税評価額が使われますが、これも建築費の60%程度です。
このように、不動産は所有者が払った金額や市場価格よりも大幅に低い金額で相続税評価されるという特徴があるのです。現金を不動産に変えるだけでも、相続税の計算上の資産価値を圧縮することができるでしょう。
2.賃貸しているとさらに評価額が下がる
購入した不動産を自分で利用するだけでなく、第三者へ賃貸をしている場合、さらに評価額を下げられます。この効果が生じるのは「入居者がいるから所有者自身も自由には使用・処分ができない」という制約が考慮されているためです。
たとえば建物の場合「借家権割合」という概念があり、賃貸している建物であればその割合に応じて評価額が控除されます。借家権割合は「30%」ですので、単純計算すると本来1,000万円の建物でも700万円の相続税評価額として相続財産に加えることができます。
土地についても同様の理屈で、賃貸していると自分で住んでいる自用地より低い評価額になります。
但し、最近の判例では、路線価による評価額が、実態とかけ離れ、行き過ぎた節税につながると判断されるような場合では、実勢価格(不動産鑑定による価格など)による評価とされるケースもあるので注意が必要です。
3.小規模宅地等の特例が使えるとさらに評価減
土地を相続するときは「小規模宅地等の特例」の適用を受けられるかどうかをチェックしましょう。さまざまある節税対策の中でも特に大きな効果が得られる仕組みです。
自宅として使用する場合のみならず、賃貸物件としての敷地でも「貸付事業用宅地等」として適用の余地があります。もし特例が使えると、限度面積200㎡までの土地に対し相続税の評価額を50%減額できます。
ただし、この特例の適用関係は慎重に判断しなくてはなりません。要件が複雑なため、税理士に確認してもらうことをおすすめします。
例)要件の1つに「事業的規模」があり、ごく小規模の賃貸経営だと特例が受けられない場合がある。部屋数や経営実態なども考慮して判定される。
賃貸物件を使った相続税対策の注意点
賃貸物件を使った節税対策は効果が大きい反面、上手くいかなかった場合のリスクも大きいため注意して取り組みましょう。
たとえば賃貸物件用の土地として小規模宅地等の特例を利用するなら、3年以上運営してきたという実績が求められます。相続開始前3年以内に節税目的で急いで貸付事業を始めたとしても、原則として特例の対象にならないのです。そのため相続税対策として賃貸物件を活用する場合には、できるだけ早期から準備を始めましょう。
また、賃貸経営自体のリスクもあります。たとえば次のような問題です。
- 入居者が決まらず賃料収入が得られない空き室のリスク
- 入居者が家賃を滞納して、賃料が入らないリスク
- 経年劣化による修理修繕費発生のリスク
- 火災や地震など自然災害による建物の損傷のリスク
以上を踏まえ、相続税対策だけを目的とせず長期的に安定した収益を上げられるかどうかも慎重に検討すべきでしょう。
賃貸物件による節税を成功させるには
賃貸物件を活用した相続税対策を成功させるには、早めに準備に取り掛かることと、適切な物件選びが不可欠です。
小規模宅地等の特例適用観点からは、被相続人が元気なうちに賃貸経営を開始し、3年以上の実績が積めるようにしましょう。
賃貸需要の高いエリアを選ぶことも重要です。見定めが上手くいくと空室リスクを抑えることができ、安定した収益と高い節税効果の両立が可能になります。
また、相続人が複数いるなら事前に分割方針を決めておくことも大切です。不動産は現金と違って分割しにくく、相続時にトラブルが起こりやすいためです。家族でよく話し合い、前もって遺産分割の方針を明確にしておくことができればこのトラブルを防げるでしょう。










