06-4865-7028
対応時間
平日 9時~17時00分
定休日
土・日・祝日

相続税における配偶者の税額軽減とは?メリットや注意点など/井関孝之税理士事務所

井関孝之税理士事務所|大阪府豊中市 > 相続 > 相続税における配偶者の税額軽減とは?メリットや注意点など

相続税における配偶者の税額軽減とは?メリットや注意点など

多額の遺産を受け取ると相続税も大きくのしかかってきます。しかし夫婦間の財産の移動は、その他の人物間で起こる移転とは性質が大きく異なります。

そこで配偶者に関しては税負担を軽減する措置として「配偶者の税額軽減」の仕組みが設けられています。

 

納付額を大幅に減らせる、あるいはなくせることも多く、とても効力の大きな制度といえます。

ここでこの配偶者の税額軽減について解説し、メリットや適用を受けるときの注意点をまとめます。

 

配偶者控除とは

配偶者の税額軽減とは、亡くなった方(被相続人)と婚姻をしていた夫や妻だけに認められる相続税額の軽減のことです。

 

相続税法に規定が置かれていますが「配偶者控除」という名称で定義されているわけではなく、「配偶者の税額の軽減」や「配偶者に対する相続税額の軽減」などと表記されます(法律的には「控除」と「軽減」は異なります)。

 

他にも相続税の計算上次に挙げるような控除制度があるのですが、配偶者の税額軽減はこれらどの控除と比べても圧倒的に大きな効果を発揮することができます。

 

《 相続税に関する税額控除 》

 

●未成年者控除:18歳未満が適用を受けられる。年齢に応じて控除額が定まる。

●障害者控除:85歳未満の障害者が適用を受けられる。年齢に応じて控除額が定まる。

●贈与税額控除:生前贈与加算された財産について贈与税を納めている方が適用を受けられる。その財産について納めた贈与税額が控除額になる。

●相次相続控除:過去10年以内の相続に関して二次相続があったときに適用を受けられる。一次相続からの期間に応じて控除額が定まる。

●外国税額控除:外国で相続税を納めている方が適用を受けられる。外国で納付した税額が控除額になる。

 

控除額の計算方法

配偶者の税額軽減の効果を端的に説明すると、「相続した財産が法定相続分に収まる範囲なら納付税額が0円になる」「取得した財産が法定相続分を超えるときでも、その価額が16,000万円以下なら相続税額が減額になる」と、このように言うことができます。

 

取得した経路は遺産分割協議であってもかまいませんし、遺贈(遺言書を使った財産の譲渡)であってもかまいません。

借金等(配偶者が負担)の価額を差し引いた正味の遺産額がこれらの金額以下であれば相続税の負担はなくなるか軽減されます。

 

軽減される額は次の計算式で求められます。

 

軽減額 = 相続税の総額×(「課税価格の合計に配偶者の法定相続分を掛けて算出される金額」と「16,000万円」のどちらか大きい額と、課税遺産の総額のうち配偶者に係る部分の金額のいずれか少ない方)÷課税価格の合計額

 

 

仮に、相続税の総額を3,000万円、相続人は配偶者と子どもとし、配偶者が遺産9,000万円のうち2/3を取得したとしましょう。

このときは次のように求めることができます。

 

軽減額 = 3,000万円×(9,000万円×1/216,000万円のどちらか大きい額、また6,000万円とのいずれか少ない方)÷9,000万円

    = 3,000万円×6,000万円÷9,000万円

    = 3,000万円×2/3

    = 2,000万円

 

配偶者の相続税額は3,000万円に実際の取得割合である2/3を乗じた2,000万円ですので、制度を適用して納付すべき額はゼロとなります。

法定相続分を超えて取得しているもののその価額が16,000万円を超えておらず、全額控除できる計算になっています。

 

 

では次に、遺産4億円を法定相続分で分割した場合であって、その他の条件は同じであると想定して計算をしてみます。

 

控除額 = 3,000万円×(4億円×1/216,000万円のどちらか大きい額、または2億円のいずれか少ない方)÷4億円

    = 3,000万円×2億円÷4億円

    = 3,000万円×1/2

    = 1,500万円

 

この場合は配偶者の取得価額が16,000万円を超えていますが、法定相続分で取得していますので、結局全額が軽減されています。

 

配偶者控除を使うメリット

配偶者の税額軽減を使うメリットはやはり「相続税の負担が大幅に小さくなる」という点にあります。

 

法定相続分を超えなければ多額の遺産を受け取っても相続税は軽減されます。法定相続分を超えたとしても16,000万円以下ならやはり軽減されます。

いずれの基準を上回って取得したとしても、大きく軽減されて、取得した財産の大きさの割に小さな納付額で済みます。

 

配偶者控除を使うときの注意点

配偶者の税額軽減は配偶者にとって非常に有益な仕組みですが、申告手続を忘れてはいけません。

また、今後の相続で親族にかかる相続税の負担についても考慮した方が良いです。

 

納税額が0円でも申告が必要

基本的に、納付すべき相続税が0円(課税価格が基礎控除以下)であるときは申告作業も必要ありません。

 

しかしながら配偶者の税額軽減の適用を受けるには申告が必要ですので、税額軽減の適用の結果、税額が0円になるとしても申告は省略することができません。

 

戸籍謄本等を添えて自らが配偶者であることを証明できるようにして、申告書を提出します。

また、取得した財産の内容を証明する必要もありますので、遺産分割協議書の写しや遺言書の写しなども添付します。

 

相続の事実を知った日の翌日から10ヶ月以内、という期限にも注意しましょう。

 

二次相続でかかる税負担も考える

配偶者の税額軽減を頼れば、多額の遺産を取得しても税負担を少なくすることは可能です。

 

ただし、当該配偶者が亡くなって相続(二次相続)が開始されたとき、その子どもなどの相続人が大きな遺産を受け取ることになります。

ここで(軽減されていた)大きな税負担が発生する可能性がありますので、要注意です。

 

一次相続の時点で子どもたちにもある程度遺産を分けていれば、一次相続と二次相続で発生した相続税の全体額は低く抑えられることもあるのです。

税理士に相続税のシミュレーションをしてもらうと、どのように分割するのが節税の観点から有効であるのかがわかりやすくなります。

井関孝之税理士事務所が提供する基礎知識

  • 消費税軽減税率制度の解説...

    2019年10月より消費税の制度が変わり、消費税が10%となる一方で、「軽減税率制度」がスタートしました。軽減税率制度と...

  • 法定相続分と遺留分の違い

    法定相続分とは、民法上定められた、共同相続人が取得する相続財産の相続割合をいいます。たとえば、配偶者と子が相続人となった...

  • 税務調査の対応

    ■税務調査とは税務調査とは、毎年行われる確定申告に対し、申告内容が正しいかどうかを税務署が調査することをいいます。税務調...

  • キャッシュフロー経営

    キャッシュフロー経営とは、キャッシュすなわち手持ちの現金(資金)がどれくらいあるかを重視した経営方法です。 伝...

  • 人材育成サポート

    税理士の職務は、会社の税務を取り扱うことにとどまりません。会社の経営や、人材育成といった会社全体の補佐を行うのも税理士の...

  • 電子定款

    まず、定款とは、会社設立に際して法律上作成が要求されているもので、その会社の根本的な規則を定めたものです(会社法26条1...

  • 相続税の申告

    ■相続税の申告方法 ・相続税の申告場所相続税の申告は被相続人の死亡時の所在地を所轄する税務署長に対して行う必要...

  • 税務申告の種類

    まず、税務申告とは、会社が法人として負担すべき税金額を申告する業務のことを言います。 その種類としては、①法人...

  • 金庫株とは

    金庫株とは一度発行した自社株を買い戻した後、そのまま保有している株のことを言います。金庫株のメリットは次のようなものがあ...

  • 法人税の基本的な計算方法...

    法人税の納付は企業に課せられた法律上の義務です。毎年正しく申告・納税を行わなければなりません。税制は複雑で計算方法につい...

よく検索されるキーワード

所長税理士紹介

井関税理士の写真
所長税理士
井関孝之(いせき たかゆき)
  • 沿革
    • 平成6年2月 税理士登録
    • 平成10年11月 井関孝之税理士事務所開業
    • 平成10年11月 TKC全国会入会
  • 所属団体
    • 近畿税理士会
    • TKC全国会
    • 豊中商工会議所
    • 豊能納税協会
ご挨拶

私は平成10年に税理士事務所を開設してから今日まで、多方面の顧問先のお客様と信頼の絆を築いてまいりました。

これからも、この絆を築くことに重点を置き、お客様に満足していただけるよう努めさせていただきます。

税務、会計はもちろん他の些細なことでもお悩みごとがございましたらお気軽に当事務所までご相談下さい。

プライバシーを守り、一生懸命お客様に満足していただけるよう努めさせていただきます。

事務所概要

経営理念
  1. 「自利利他」の理念と実践
  2. 社会と調和しながら未来を創っていくこと。
  3. すべての人のために存在すること。

を経営理念として、地域の発展に貢献したいと考えています。

事務所名 井関孝之税理士事務所
所属 近畿税理士会、TKC全国会、豊中商工会議所、豊能納税協会
代表者 税理士 井関孝之
所在地 大阪府豊中市蛍池中町2-4-16
アクセス 阪急各線・能勢電鉄線で阪急宝塚線「蛍池駅」徒歩1分/大阪モノレールで「蛍池駅」徒歩1分
電話番号/FAX番号 06-4865-7028 / 06-4865-7030
営業時間 平日9時~17時(事前にご連絡頂ければ時間外も対応いたします。)
定休日 土曜・日曜・祝日(事前にご連絡頂ければ土日祝も対応いたします。)
事務所看板 井関税理士の写真

ページトップへ